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第8号 作れなかった公正証書遺言・・・

木村さん(仮名)は半年ほど前に病気であることが判明し、お姉さんから生活支援を受けていました。
お姉さんからのご相談で木村さんのご自宅に伺いました。木村さんより、遺言を作成したいとのお話がありましたが、入退院を繰り返しており体調は思わしくない状態でした。

そのため、公証人役場から出張してもらい、公正証書遺言の作成をご提案しました。木村さんは未婚で子供もなく、ご両親も亡くなっているため相続人はお姉さんと弟さんの二人です。木村さんは、お姉さんに8割以上の財産を相続させたいというお気持ちでした。

必要書類を揃えて公証人に遺言(案)を作成してもらい、公証人に出張での遺言作成日の予約をとりました。しかし、その前日に木村さんはお亡くなりになりました。

お姉さんからその後、木村さんの相続手続きの依頼を受けたのですが、もう一人の相続人である弟さんは他県に住んでいて日頃からお姉さんとの仲が悪く遺産分割協議は難航し、合意が得られるまでに半年以上もかかりました。

この事例では、病気で体調が思わしくない方は特に手続きを早く進める必要があること、また公正証書遺言の作成には時間と手間がかかることを感じました。

公正証書遺言の作成はお早めに!

公正証書遺言と自筆証書遺言の違い

遺言には公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類があります。それぞれに長所と短所がありますが、遺言書の作成をご検討されている方はよりトラブルの少ない、公正証書遺言をご検討ください。

公正証書遺言 自筆証書遺言
概要 公証役場で承認の立会いのもとに、公証人に口述し、公証人が遺言書を作成する。 全文・日付・氏名を自書し、押印する。遺言者の死亡後に検認が必要。
長所 内容が明確で、無効になる恐れがほとんどない。偽造・紛失の心配がない。 いつでも、どこでも誰にでも知られずに作成できる。費用がかからない。
短所 立会人が必要。費用がかかる(財産の金額により増加)。 不明確な内容になりがちで、トラブルの可能性有。偽造・隠ぺいの心配。

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