第28号 相続手続 事例レポート
約40年ぶりの民法改正! 第3回
〇婚姻20年以上で贈与・遺贈された自宅は遺産分割の対象外に!
現行の民法では、相続人に生前贈与等を行った場合、原則としてその贈与を受けた財産も遺産に戻して相続分を計算し、生前贈与を受けた分を差し引いて遺産分割を行うこととなっています。
そこで今回の民法改正では、婚姻期間が20年以上の夫婦間で遺贈(死亡時に贈与)または生前贈与された自宅は、遺産分割の対象から除外されることとなりました。これによって相続後に、自宅の贈与について相続財産に持ち戻す必要がなくなりました。
もちろん、この法改正がベストマッチする家庭とそうではない家庭とあると思います。我が家の対策として必要かどうか十分に考慮する必要があります。
この制度の施行日は2019年7月1日です。施行日前にされた遺贈・贈与について本制度は適用されませんのでご注意ください。
〇不公平な遺言に対し、遺留分を金銭で支払わせることが可能に!
遺留分とは、一定の範囲の法定相続人に認められる、最低限の遺産取得分のことです(兄弟姉妹にはありません)。例えば、父親が「長男にすべての財産を相続させる」という遺言を残したとしても、他の相続人は遺留分を主張して最低限の相続分を長男に請求することができます。これを遺留分減殺請求といいます。
改正後は、遺留分減殺請求権ではなく「遺留分侵害額請求権」とすることとし、遺留分を金銭請求権に変更となり、金銭で弁済することが必要です。「金銭債権化」することで不動産や有価証券などの相続財産が共有状態にならないようになります。また、改正後は、遺留分の算定において価格を算入できる生前贈与財産の範囲を相続開始前10年間以内のものに制限されます。
この改正は、2019年7月1日以降開始する相続から適用になります。
次回は、「配偶者居住権を新設」「18歳から大人に!!」をお送りします。お楽しみに!!
トピックス
- 2023.09.04
- 第41号 相続手続 事例レポート
- 2023.07.10
- 第40号 相続手続 事例レポート
- 2023.04.02
- 第39号 相続手続 事例レポート
- 2023.01.31
- 第38号 相続手続 事例レポート
- 2022.12.01
- 第37号 相続手続 事例レポート
- 2022.09.07
- 第36号 相続手続 事例レポート
- 2022.09.07
- 第35号 相続手続 事例レポート
- 2022.09.07
- 第34号 相続手続 事例レポート
- 2021.09.17
- 第33号 相続手続 事例レポート
- 2021.06.21
- 第32号 相続手続 事例レポート